「いじめを認めないこと」が解決を遅らせないために
9月議会の一般質問では、
学校における「いじめへの対応」
について取り上げました。
議員をしていますと、子どものいじめについて相談を受けることがあります。
個別の案件についてここで申し上げることはできませんが、
被害を訴える子どもや保護者にとって、
「学校がいじめとして受け止めてくれるのか」ということは非常に重要です。
一方の話だけで事実を決めつけることはできません。
しかし、
「けんかだった」
「ふざけ合いだった」
「お互いさまだった」
という理由だけで、簡単に「いじめではない」と判断してしまうことにも危険があります。
鹿嶋市では、何をもって「いじめ」と認知するのか
今回、まず確認したのが、
鹿嶋市の学校では、どのような場合に「いじめがあった」と認知するのか
という点です。
教育委員会の答弁では、
「いじめ防止対策推進法」の定義に基づき、
一定の人的関係にある児童生徒から心理的または物理的な影響を受け、
その行為を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じている場合には、
いじめとして認知することを基本としているとの説明がありました。
重要なのは、
行為をした側に「いじめるつもりがあったか」だけで判断するのではなく、
その行為を受けた子どもの立場に立って、
その子がどう感じているのかを丁寧に確認する
ということです。
また、担任や一人の先生だけで判断するのではなく、
いじめが疑われる情報があった場合には、
速やかに学校のいじめ対策組織へ報告し、
複数の教職員で事実確認を行うことになっています。
今年度は、新たに認知したものだけではなく、
継続して対応している案件も含め、
各学校から毎月100件程度の報告を教育委員会が受けているとのことでした。
これは、
「いじめを一部の特別な出来事として扱うのではなく、
日常の学校生活の中でも小さな兆候を積極的に把握する」
という考え方によるものです。
「認知件数が多い=悪い学校」ではない
私は以前から、
いじめの認知件数が多いこと自体を、
悪いこととして捉えるべきではないと思っています。
むしろ、小さな段階でいじめを把握して、
早く対応することが、
重大な事態になることを防ぐことにつながります。
教育委員会からも、
いじめの認知件数がゼロとなっている学校などについては、
本当にいじめがないのかを改めて確認する
「認知ゼロの検証」
を行うよう指導しているとの答弁がありました。
「認めたら学校の評価が下がる」という発想ではなく、
早く見つけ、早く対応する学校の方が、むしろ子どもを守れる学校
だと思います。
学校だけで抱え込まない――教育委員会はどこから関わるのか
次に確認したのが、
学校と教育委員会の役割分担です。
通常、いじめへの対応は学校が中心になります。
しかし、長期化した場合や、
保護者と学校の認識が大きく食い違った場合、
学校だけで解決することが難しいケースもあります。
教育委員会の答弁では、
学校がいじめを認知した後は、
毎月の報告を受けながら状況を継続的に確認し、
必要に応じて学校へ助言・指導を行っているとのことでした。
重大事態が発生した場合や、その疑いがある場合には、
事案の長期化や複雑化を防ぐため、
学校の状況をより細かく把握し、
対応方法について助言を行う
との説明でした。
また、「いじめである」「いじめではない」と
学校と保護者の認識に違いが生じた場合には、
教育委員会が双方から状況を確認し、
必要な調整や助言、指導を行うこともあるとのことです。
私は、
学校だけに問題を抱え込ませず、
必要な段階で教育委員会がしっかり関与すること
が大切だと考えています。
被害者を守ることが最優先――しかし加害した子どもにも向き合う
もちろん、いじめが起きたときに、
最優先で守らなければならないのは被害を受けた子どもです。
教育委員会も、
被害を訴えている児童生徒の安全と安心を最優先し、
必要な支援や環境調整を行うとの姿勢を示しました。
一方で、加害した児童生徒についても、
単に厳しく叱って終わりではなく、
自分の行為が相手にどのような影響を与えたのか、
責任について理解させ、
同じ行為を繰り返さないための指導や支援を行うことが、
再発防止につながるとの答弁でした。
さらに、保護者に対しても事実関係や学校の対応を丁寧に説明し、
家庭と連携して再発防止に取り組むとしています。
犯罪行為が疑われるなど、
学校だけでは対応が難しい場合には、
児童相談所や警察など関係機関への相談・通報も行うとのことです。
被害者を守ることと、
加害した子どもに責任を理解させ、
再び同じことをさせないようにすること。
どちらか一方ではなく、両方に向き合うことが本当の再発防止につながる
と私は考えています。
SNS時代のいじめ――動画拡散で「新たな被害」を生まないために
今回、特に今の時代だからこそ重要だと考えて質問したのが、
SNSといじめの問題です。
現在は、いじめや暴力の様子がスマートフォンで撮影され、
SNS上に拡散されることがあります。
当然、まず守るべきなのは、
被害を受けた子どもです。
しかし、動画がインターネット上に広がれば、
加害者とされる子どもの顔や名前、学校などが特定され、
今度はその子どもがネット上で激しい誹謗中傷を受けることがあります。
これは、いじめをした側をかばうという話ではありません。
いじめや暴力は、相手を傷つけるだけでなく、
自分自身の人生にも取り返しのつかない影響を残す可能性がある
ということまで、子どもたちに教える必要があると思います。
「撮った人」「拡散した人」にも責任がある
答弁では、鹿嶋市の学校でも、
情報モラル教育やメディアリテラシー教育を行っているとの説明がありました。
いじめや暴力については、
場合によっては暴行罪や傷害罪などの犯罪行為に該当すること。
また、SNS上で動画を拡散することについても、
その内容によっては刑罰の対象となる可能性があること。
さらに、
本人の許可なくSNSに投稿・拡散する行為が、
新たな人権侵害や被害の拡大につながる可能性があることも、
学校で指導しているとのことでした。
インターネットに一度投稿された画像や動画は、
完全に削除することが難しく、
将来にわたって残ってしまう可能性があります。
「いじめをしない」だけでなく、
「面白半分で撮影しない」「拡散しない」
という教育も非常に重要です。
市では今後も、情報技術の使い方だけではなく、
人権、権利、責任まで含めて考える教育を進めていくとの答弁でした。
いじめをした事実は、高校進学時の内申書に書かれるのか
最後に、私から制度上の確認をしました。
中学生がいじめの加害行為を行い、
学校としてその事実を認定した場合、
そのことを高校進学時の調査書、
いわゆる「内申書」に書くことができるのかという点です。
私は、
「いじめをした子どもの将来を閉ざせ」
という考えではありません。
しかし、重大ないじめがあった場合、
高校へ進学して環境が変わったことで、
それまで学校で行ってきた指導や支援がすべて途切れてしまえば、
再発防止という意味でも問題があります。
答弁では、
単に「いじめをした」という事実だけを調査書に記載するものではない
との説明がありました。
一方で、重大ないじめ事案や、
学校が行った指導・支援の経過などについて、
進学先での対応に必要な情報があれば、
適切に引き継いでいく必要があるとの考えも示されました。
単に「いじめがあった」と伝えるだけではなく、
それまで学校がどのような指導を行い、
本人がどう受け止め、
どのような支援が必要なのか。
次の学校でも切れ目のない支援につながる情報を引き継ぐことが重要
だということです。
「いじめを認知すること」を恐れない学校であってほしい
今回の質問を通じて、私が最も大切だと感じているのは、
いじめを認知すること自体を、学校が恐れないこと
です。
認知したら終わりではありません。
むしろ、認知したところから、
子どもを守るための対応が始まります。
小さな兆候を見逃さない。
一人の先生だけで判断しない。
学校だけで抱え込まない。
必要なら教育委員会や外部機関も関わる。
そして、被害を受けた子どもを守ることを最優先にしながら、
加害した子どもにも自分の行為と向き合わせ、
再発させないための教育と支援を続けていく。
さらに今の時代は、
SNSによる撮影や拡散によって、
別の被害を生み出さないための教育も欠かせません。
「いじめをなかったことにする」のではなく、
早く気づき、早く認め、早く対応する。
子どもたちが安心して学校生活を送れる鹿嶋市であるために、
今後も学校と教育委員会の対応を確認していきたいと思います。

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