鹿嶋市では令和7年4月から、
デマンド型乗合タクシーの料金体系が変わりました。
市内を4つの区域に分け、
同一区域は600円、隣接区域は900円、
それ以外の移動は1,200円となっています。
料金改定から1年。
実際の利用状況を確認すると、
見過ごすことのできない変化が出ています。
| 延べ利用者 | 16,686人 → 14,421人 |
|---|---|
| 利用者の増減 | 約13%減・2,000人以上減少 |
| 運賃収入 | 946万円 → 1,142万円 |
運賃収入は増えました。
しかし、その一方で利用する人は大きく減っています。
今回の一般質問では、
「料金収入が増えた」ということだけでなく、
「なぜ利用する人がこれだけ減ったのか」
という視点から、料金改定後の状況を取り上げました。
500円だった移動が900円に
今回、特に注目したのが、
区域をまたいで利用する場合の料金です。
料金改定前には500円で利用できた区間の一部が、
新しい区域設定によって900円となりました。
500円から900円ですから、80%の負担増です。
当初、市からはおおむね20%程度の負担増という説明がありましたが、
実際には区域の組み合わせによって、
それを大きく上回る値上げとなった利用者もいます。
そして、実際の利用状況を区間別に確認すると、
区域内の移動が増えている一方で、
区域をまたぐ移動が大きく減少しています。
利用減少の多くがC・D区域間
特に大きな変化があったのが、
鹿嶋中心部のC区域と、
神栖寄りのD区域をまたぐ移動です。
| C・D区域間 | 往復合わせて約2,000回減少 |
|---|---|
| C区域内 | 利用増加 |
| D区域内 | 利用増加 |
つまり、区域をまたいで移動するより、
区域内で済ませる方向へと利用行動が変わっている可能性があります。
もちろん、利用が減った理由のすべてを
料金改定だけで説明することはできません。
これだけ区域をまたぐ移動が減っている以上、
料金が上がったことで、
買物先や通院先を変えたり、
外出回数そのものを減らしたりした方がいなかったのか、
調べる必要があると考えています。
家族の送迎や、別の交通手段へ切り替えた方がいなかったのかも含め、
実際の利用者の声を確認することが重要です。
平均567円から792円へ
もう一つ気になったのが、
利用1回当たりの平均的な運賃です。
| 料金改定前 | 567円 |
|---|---|
| 料金改定後 | 792円 |
| 上昇率 | 39.6% |
もちろん、この39.6%という数字は、
すべての利用者の料金が一律39.6%値上がりした、
という意味ではありません。
ただ、利用者全体が実際に支払った運賃を平均すれば、
1回当たりの金額が大きく上昇したことになります。
「792円という水準まで上昇することを当初から想定していたのか」
と確認したところ、
そこまでは想定していなかったとの答弁でした。
障がい者割引にも大きな変化
今回、もう一つ取り上げたのが、
障がいのある方への割引制度です。
これまでの半額割引から、
現在は定額300円引きへ変更されています。
| 改定前 | 約166万円 |
|---|---|
| 改定後 | 約85万円 |
市からは、短距離では割引額が250円から300円へ増えていることに加え、
これまで対象ではなかった難病の方を、新たに割引対象とした
ことが説明されました。
難病の方を新たに対象としていただいたことは、
私も評価しています。
中距離・長距離では、
障がいのある方の実質的な負担が大きくなっています。
自分で車を運転することが難しい方にとって、
公共交通は社会参加や通院、買物などを支える大切な移動手段です。
この部分については、
次回の制度見直しの際に、
改めて検討していただきたいと要望しました。
900円を600円にしてみては?
では、どう改善するのか。
今回の一般質問では、
私から一つ具体的な案を提案しました。
例えば社会実験や物価高対策などとして期間を限定し、
隣接区域間の料金を900円から600円にしてみてはどうか。
というものです。
この場合、料金体系は基本的に
「600円」と「1,200円」の2種類となり、
現在より分かりやすくなります。
そして、500円から900円へ値上がりしたことで
利用回数が大きく減った区間を600円にすることで、
利用がどの程度戻るのかを実際に検証できます。
料金を下げれば、
1回当たりの運賃収入は減ります。
しかし、利用する人や利用回数が増え、
乗り合いで乗車する人数が増えれば、
制度全体として違った結果になる可能性があります。
料金改定から1年で新しい制度も一定程度浸透しており、
短期間で再改定すると利用者の混乱を招く可能性があるため、
現時点で直ちに改定する考えはないとの答弁でした。
一方で、今回の提案については、
今後の制度設計における検討材料の一つとして
受け止めるとの考えも示されました。
「収入」だけでなく「利用しやすさ」を
デマンドタクシーは、
単に料金収入を得るための事業ではありません。
高齢者や免許を返納した方、
障がいなどによって自分で車を運転することが難しい方など、
市民の移動を支える重要な公共交通です。
今回、料金改定によって運賃収入は増えました。
しかし、その一方で利用者は大きく減っています。
行政サービスとして考えれば、
より多くの市民が「利用しやすい」と感じ、
実際に利用してもらえることも非常に重要だと考えています。
料金を下げれば利用は戻るのか。
乗り合い率は高まるのか。
通院や買物など、市民の移動をより支えられるのか。
これは推測だけで決めるのではなく、
実際の利用データや利用者の声を調べながら
検証していくべきだと思います。
デマンドタクシーを
「これで完成した制度」とするのではなく、
利用実態に合わせて改善を重ね、
より利用しやすく、持続可能な公共交通にしていくことが必要です。
私も引き続き、
利用状況や市民の皆さんの声を確認しながら、
より使いやすいデマンドタクシーのあり方を考えてまいります。

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