鹿嶋市農業公社はこれから何を目指すのか――新技術・直売・担い手支援を考える

鹿嶋市農業公社はこれから何を目指すのか
新技術・直売・担い手支援を考える
令和7年度決算を審査した都市経済分科会では、 鹿嶋市農業公社についても詳しく質疑を行いました。

農業公社は、単に「農家の代わりに農業をする組織」ではありません。

農業を取り巻く環境が大きく変わる中で、 新しい技術を試し、地域に合った成功例を作り、農家へ広げていく役割 も期待されています。

今回は、公社自身の農業生産、乾田直播、直売、保冷庫、担い手不足、 農地中間管理などについて、委員会での質疑を紹介します。

農業公社自身は、どこまで農業をするのか

まず確認したのは、 農業公社自身が行う農業生産の規模です。

質疑

現在、公社自身で作付けしている面積は約2.6~2.7haですが、 最終的にはどの程度の規模を目指しているのでしょうか。 損益分岐点なども含め、どのように考えているのでしょうか。
鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
現状では事務系職員が1名しかおらず、 マネジメントが難しい状況です。

そのため、現実的な目標としては 約2.5ha、最大でも3ha程度 と考えています。

公社がどんどん農地を増やし、 大規模農業法人のようになっていくという方向ではなく、 現在の人員体制に合った規模で運営していく考えです。

注目される「乾田直播」とは

委員会では、農業の省力化につながる 乾田直播についても質疑がありました。

質疑

乾田直播は、どのような農法なのでしょうか。 また、公社が先進技術の実験場のような役割を担う考えはあるのでしょうか。
鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
乾田直播にはいくつかの方法がありますが、 基本的には田んぼに水を張らない状態で種をまく方法です。

代かきや苗の育苗管理が不要になるため、 育苗にかかるコストや手間を大きく減らすことができます。

米づくりでは、 苗を育て、田んぼに水を張り、田植えをするという作業に 多くの時間と人手がかかります。

乾田直播が地域の条件に合えば、 こうした作業を減らす可能性があります。

農業公社を「新技術の実験場」にできないか

質疑

一般の農家にとって、 新しい農業技術をいきなり導入することには大きなリスクがあります。

農業公社が企業やメーカーと連携し、 新しい技術を実証する役割を担うことはできないでしょうか。
鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
現時点で具体的な計画までは決まっていませんが、 そのような役割が必要であることは認識しています。

外部からの借り上げや補助金の活用、 企業・民間との連携などを行いながら、 実証や事例づくりを進めていきたいと考えています。
農業公社だからできる役割
新しい農機やドローン、乾田直播などは、 農家が個人で導入するには費用もリスクもあります。

そこで、公社が先に試し、 「鹿嶋では、この方法ならうまくいく」 という成功例を作る。

そして、その結果を地域の農家へ還元する。

こうした役割は、農業公社の重要な役割の一つになり得ると思います。

農産物を「作る」だけでなく「売る」

公社が今後収益を確保していくには、 農作物を作るだけではなく、 販売までつなげていくことも重要です。

質疑

農家から農産物を買い上げ、 直売会やふるさと納税などで販売する仕組みを さらに広げていく考えはあるのでしょうか。
鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
段階的に農家からの買い上げを増やしていきたいと考えています。

ただし、最大の課題となっているのが 保冷庫・倉庫などの保管設備 です。

現在、業者から見積もりを取ったり、市長へ相談したりしながら、 設備投資と収益のバランスを整理しています。

使われていないハウスを活用できないか

現在、公社には約4,000㎡のハウスがあります。

しかし、主に3月から7月ごろまでの育苗時期に利用しており、 それ以外の時期は十分に活用されていません。

鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
乾田直播などの導入によって苗づくりを減らすことができれば、 ハウスを通年で活用できる可能性があります。

その中で、新しい高付加価値作物の生産などにも 取り組めるようになると考えています。

米だけではなく、 サツマイモなど付加価値を付けやすい作物や、 ふるさと納税の返礼品につながる作物への展開も 考えられるところです。

後継者不足に、公社はどう関わるのか

鹿嶋市の農業でも、 担い手不足や後継者不足は大きな課題です。

質疑

新規就農者や、 農地を持っていない人が農業を始めたい場合、 市や農業公社はどのような支援をしているのでしょうか。
鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
市では、新規就農者に対する経済的支援や、 ICT農機具購入への補助などを行っています。

農業公社では、 土地を持っていない就農希望者に対して、 農地中間管理事業で預かっている農地や耕作放棄地を 紹介・マッチングする役割を担っています。
「農地を持っていないから農業を始められない」を減らす
新しく農業を始めたい人にとって、 大きな壁の一つが「農地の確保」です。

農業公社が農地を預かり、 就農希望者につなぐことができれば、 担い手不足対策にもつながります。

人手不足と外国人材の活用は

質疑

今後、作業受託が増えた場合、 人手をどのように確保していくのでしょうか。 外国人材の活用についても考えているのでしょうか。
鹿嶋市章 市・農業公社の答弁
まずは認定農業者の取得を目指し、 効率的な機械導入や補助制度を活用しながら 経営基盤を整えていく考えです。

外国人材の受け入れについては、 その後の課題として検討するとしています。

人が足りないからすぐ外国人材を入れるという話ではなく、 まずは機械化や経営基盤の整備を進め、 それでも必要になった段階で検討するという考え方です。

農業公社に期待されるのは「全部やること」ではない
今回の質疑から見えてきたのは、 農業公社が大規模農業法人のように 農地をどんどん広げていくことを目指しているわけではないということです。

むしろ、 新しい技術を試す。
成功事例を作る。
農家へ広げる。
農産物の販売を支援する。
農地と新規就農者をつなぐ。


こうした役割こそ、 農業公社だからできる支援ではないかと思います。

農業では、 高齢化、後継者不足、人手不足、資材価格の高騰など、 さまざまな課題があります。

だからこそ、公社が地域の農家と競うのではなく、 農家が一人では取り組みにくいことを先に試し、その成果を地域へ還元する ことが重要だと考えます。

今後も、農業公社が鹿嶋の農業を支えるために どのような役割を果たしていくのか、 引き続き確認していきたいと思います。

※令和7年度決算審査・都市経済分科会での質疑及び答弁をもとに、読みやすいよう要約・整理しています。

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