自己負担と受診率を考える
令和7年度決算を審査した文教厚生分科会では、 「がん対策経費」を評価対象事業として、 詳しい質疑が行われました。
特に議論になったのが、 がん検診の自己負担額と受診率です。
鹿嶋市の検診費用は、 鹿行5市の中でも比較的高い水準となっています。
一方で、 負担を下げれば本当に受診率が上がるのか、 無料化にはどのくらいの費用が必要なのか、 ピロリ菌検査や胃内視鏡検査をどう考えるのかなど、 さまざまな論点があります。
今回は、 がん検診をめぐる鹿嶋市の現状を整理します。
鹿嶋市の検診費用は、鹿行5市でも高め
まず、分科会で確認されたのが、 鹿行5市における自己負担額の違いです。
胃がんリスク検診についても、 鹿嶋市は2,000円、 神栖市は0円、 潮来・行方市は1,000円、 鉾田市は500円となっています。
検診の種類によっては、 鹿嶋市と神栖市で 1,000円~2,000円程度の差があります。
こうした差が受診行動に影響しているのか、 分科会でも論点となりました。
すべて無料にすると約1,500万円
市の答弁
集団検診だけで 約1,200万円。
医療機関で受ける検診も含めると、 約1,500万円程度 が必要になると考えています。
無料化には一定の財源が必要となります。 どこまで自己負担を軽減するのかは、 財源も含めて検討する必要があります。
無料にすれば受診率は上がる?
市の答弁
神栖市は無料ですが、 受診率は県平均より上位ではあるものの、 県内1位ではありません。
無料化すれば現在よりは上がると考えられますが、 市の検診以外にも 勤務先などで受ける検診があるため、 大幅な上昇まで見込めるとは限りません。
令和6年度の健康づくりアンケートでは、 検診を受けない理由として、
などが挙げられています。
胃がん検診、10年で受診者が3分の1に
受診率低下についても、 厳しい数字が示されました。
市の答弁
胃がん検診については、 若い世代の受診が伸びていません。
10年前と比較すると、 全体の受診者数は 約3分の1 まで減っています。
特に40歳から64歳では、 約4分の1まで減少しています。
肺がん検診については、 特定健診などと同じ日に受診する人が多いため、 特定健診の受診率が伸びなければ 肺がん検診も伸びにくいとの説明でした。
鹿嶋市で最も多いがん死亡は「肺がん」
鹿嶋市では、 全死亡者に占める「がん」の割合は 26.7%です。
国では、 肺がん、大腸がん、すい臓がん、胃がんの順。
茨城県では、 肺がん、大腸がん、胃がん、すい臓がんの順となっています。
鹿嶋市では、 胃がんが2位となっている点も特徴です。
胃がん検診は1,200円から2,000円へ
今回の質疑で、 特に重要だったのが 自己負担額の推移です。
鹿嶋市は、 県内平均より自己負担額が高いことを承知した上で、 段階的に引き上げてきました。
市の答弁
自己負担額は、 検診にかかる費用の おおむね3割を目安に設定しています。
予算を積算する中で、 その割合を調整しながら 値上げを行いました。
今後は「県内中位」を目標に引き下げへ
一方で、 市からは今後の考え方として、 重要な答弁もありました。
市の答弁
自己負担額については、 高くなっていると感じています。
財政事情も少しずつ持ち直してきているため、 県内中位を目標にしながら、負担額を下げていきたい と考えています。
今回、 市自身が「高くなっている」と認識し、 今後は引き下げを検討する方向を示しました。
実際にどの検診を、 いつ、 どこまで下げるのか。
今後の予算編成で確認していく必要があります。
神栖市は無料+受けやすい日程
神栖市については、 検診が無料であることに加えて、 受診しやすさという点も指摘されました。
市の答弁
神栖市は無料であることに加え、 胃がん検診と特定健診などを 同じ日に受けられる日程も設定されています。
そのため、 費用だけではなく、 「受診しやすさ」も影響している可能性があります。
検診の費用だけ下げればよいのではなく、 予約方法や日程、 一度に複数の検診を受けられる仕組みなども 重要ということです。
胃がんリスク検診とは?
胃がん対策では、 「胃がんリスク検診」についても質疑がありました。
市の答弁
胃がんリスク検診は、 ピロリ菌がいるかどうか、 また胃の萎縮の程度などを確認する検査です。
令和9年度からは、 胃内視鏡検査の導入も検討されています。
若い世代にピロリ菌検査を行うべき?
分科会では、 横須賀市などで行われている 若い世代へのピロリ菌検査についても議論されました。
市の答弁
若い世代ほどピロリ菌感染率は低く、 中学生では3~5%程度、 20代では10%前後とする報告があります。
一律に検査した場合、 感染している人の割合が少ないことや、 陽性となった場合の精神的な配慮も必要になります。
そのため、 若い世代全員に一律で実施するには 課題が多いと考えています。
なお、この数字は鹿嶋市独自の調査結果ではなく、 研究データから推計された値とのことです。
受診率だけでなく「早期発見率」を見たい
市の答弁
がんは早期に発見できれば 助かる病気になってきています。
一方で、 検診の受診状況と、 早期発見率や死亡率を 直接結びつけたデータについては、 現時点では把握していません。
市からは、 こうしたデータも含めて、 がん検診の必要性を 市民に分かりやすく伝えていきたいとの答弁がありました。
今回の決算審査では、 鹿嶋市のがん検診について、 自己負担額が県内でも比較的高い水準にあることが 改めて確認されました。
胃がん検診は、 1,200円から段階的に上がり、 令和7年度には2,000円となっています。
一方で市は、 「県内中位を目標に負担を下げていきたい」 との考えを示しました。
ただし、 受診率を上げるためには、 料金だけではなく、
なども重要です。
がんは、 早期に発見できれば 治療につながる可能性が高まります。
だからこそ、 負担額と利便性の両面から、 「受けようと思えるがん検診」に していくことが必要だと考えます。
今後、 実際に自己負担額が引き下げられるのか、 引き続き確認していきたいと思います。
※令和7年度決算審査・文教厚生分科会委員長報告別紙に記載された質疑・答弁・意見をもとに、読みやすいよう要約・整理しています。

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