下水道料金の見直しも検討へ――人口減少時代の上下水道を考える

下水道料金の見直しも検討へ
人口減少時代の上下水道を考える

令和7年度決算を審査した都市経済分科会の報告、 今回が最終回です。

最後に取り上げるのは、 水道、下水道、農業集落排水です。

上下水道は、 普段の生活では当たり前に使っていますが、 人口減少が進む中では、 施設をどこまで整備し、 どのように維持していくのかが 大きな課題になります。

今回は、 「整備を続けること」と「将来の負担」のバランス という視点から、委員会での質疑を紹介します。

集合井戸を利用している人は約10人

まず、水道事業についてです。

質疑
集合井戸を利用している方は、 現在どのくらいいるのでしょうか。 また、水道への加入状況はどうなっているのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

集合井戸を利用している方は 10人程度です。

多くの方には水道へ加入していただいていますが、 一部では現在も井戸を利用している方がいます。

また、新たに水道管を拡張した地域については、 水道への加入を条件として整備しているため、 概ね加入してもらっているとのことでした。

下水道394mを整備して、接続は4件

下水道事業では、 整備にかかる費用と、 実際の接続件数について確認しました。

質疑
令和7年度に行った汚水管整備について、 工事内容、費用、接続件数は どのようになっているのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

令和7年度は、 管渠工事6件、設計1件、 汚水桝1件を実施しました。

管渠工事では、 主に幹線整備を行い、 1m当たり約16万円の費用で、 394mを整備し、4件が接続 しました。

管渠整備:394m
1m当たり費用:約16万円
接続件数:4件
人口減少時代の下水道整備

下水道は、 一度整備すれば終わりではありません。

管を敷設した後も、 維持管理や更新に費用がかかります。

人口が減少する中で、 新たに整備する地域については、 将来どれだけ利用されるのか という視点も必要になります。

合併浄化槽に切り替えることはできない?

質疑
人口減少が見込まれる地域では、 下水道管を延ばすより、 合併浄化槽へ切り替える方法もあるのではないでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

現在の下水道区域内については、 下水道法に基づいて 生活環境の向上を目的に整備を進めています。

そのため、 下水道区域内で合併浄化槽へ移行することは、 現在の整備方針とは異なるため難しい状況です。

ただし、 幹線以外の枝線については、 すべてを一律に整備するのではなく、 利用者の要望に応じて 柔軟に整備していく方針です。

つまり、 今後もすべての道路に一律で下水道を伸ばしていく、 という考えではないことが分かります。

下水道は黒字でも「繰入金」に依存

令和7年度の下水道事業は、 会計上は黒字を確保しています。

しかし、 経営の中身を見ると、 一般会計からの繰入金に依存している状況があります。

経常収支比率:104%
経費回収率:92%
鹿嶋市章 市の答弁

令和7年度は黒字を確保していますが、 一般会計からの繰入金に依存している構造です。

今後、より安定した経営に向けて、 下水道料金の改定を検討する予定 です。

「黒字だから大丈夫」とは限らない

会計上黒字でも、 市の一般会計から資金を入れることで 黒字になっている場合があります。

下水道料金だけで 必要経費をすべて賄えているわけではない、 という点が重要です。

料金改定は市民負担に直結する

下水道料金の見直しは、 利用している市民にとって 直接負担が増える可能性があります。

一方で、 施設を維持する費用を 一般会計から補い続ければ、 下水道を利用していない市民も含めて、 税金で負担することになります。

だからこそ、 料金を見直す場合には、

市民に示すべきポイント

どの程度の赤字補填が必要なのか。
一般会計からいくら繰り入れているのか。
料金改定でどこまで改善するのか。

こうした点を市民に 分かりやすく示すことが重要だと思います。

施設の「広域化」も検討

鹿嶋市章 市の答弁

施設運営を効率化するため、 下水道だけではなく、 類似する施設である 「し尿処理施設」や 「農業集落排水施設」などとの 広域化も検討していきます。

人口が減れば、 一つの自治体だけで施設を維持するより、 周辺地域との連携や 施設の統合によって効率化する考え方も 重要になってきます。

農業集落排水は公共下水道との統合へ

農業集落排水については、 より具体的な将来方針が示されています。

質疑
人口減少が進む中で、 農業集落排水について、 個別浄化槽への変更や 公共下水道への統合など、 今後どのように考えているのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

令和10年度を目標に、公共下水道事業との事務統合 に向けて調整を進めています。

将来的には、 県の広域化・共同化計画に基づき、 大船津地区・爪木地区について 公共下水道への統合を目指しています。

また、 人口変動などを踏まえて、

浄化槽
コミュニティプラント
公共下水道への編入

などを比較し、 ライフサイクルコストを踏まえて 最適な汚水処理方法を検討していくとしています。

委員会で出された意見

国の補助制度、 施設更新や維持管理にかかる費用、 住民負担などを十分に考慮したうえで、 将来の汚水処理の在り方について 適切な時期に最適な方向を整理し、 市民へ示してほしいという意見が出されました。

上下水道も「作る時代」から「維持する時代」へ

これまでの行政は、 人口増加や市街地の拡大に合わせて、 道路、水道、下水道などを 整備してきました。

しかし、 人口減少が進むこれからは、 同じ考え方で施設を増やし続けることは難しくなります。

これから大切なのは「将来まで維持できるか」

新しく整備することだけではなく、

誰が使うのか。
何人が使うのか。
維持費はいくらかかるのか。
将来も使い続けられるのか。

こうした視点で 公共インフラを考えていく必要があります。

都市経済分科会の報告を終えて

今回の決算審査では、 観光、農業、商工業、水産、 新スタジアム、市営住宅、 そして上下水道まで、 鹿嶋市の将来に関わる幅広い事業を確認しました。

今回の上下水道については、 下水道管を394m整備して接続4件だったこと、 経費回収率が92%であること、 料金改定を検討していること、 そして農業集落排水を 公共下水道へ統合していく方向が示されました。

人口が減少する時代には、 「整備すること」だけでなく「将来まで維持できる仕組みか」 という視点がますます重要になります。

料金を上げれば市民負担になります。 一方で、 一般会計から補い続ければ、 税金による負担が増えます。

だからこそ、 費用と効果、利用者数、将来の人口、 施設の更新費用まで含めて、 市民に分かりやすく示しながら 判断していくことが必要だと思います。

これで、 令和7年度決算審査・都市経済分科会の 主な質疑についての報告は一区切りとなります。

※令和7年度決算審査・都市経済分科会での質疑及び答弁をもとに、 読みやすいよう要約・整理しています。

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