新聞を取らない人にどう届ける?――鹿嶋市の広報を考える

新聞を取らない人にどう届ける?――鹿嶋市の広報を考える

令和7年度決算の総務生活分科会の資料を読むと、 「広報かしま」やホームページ、 LINE、エフエムかしまなど、 市から市民への情報発信について 多くの質疑が記載されています。

市がどれだけ情報を発信しても、 必要な人に届かなければ意味がありません。

特に新聞購読者が減る中で、 これまで中心だった 「新聞折込で広報紙を届ける方法」 をどう補っていくのか。

今回は、資料に記載された質疑・答弁をもとに、 鹿嶋市の広報について整理します。

「広報かしま」は年間12回、約858万円

資料に記載された質疑
「広報かしま」は年間何回発行され、 印刷や新聞折込に どのくらいの費用がかかっているのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

「広報かしま」は毎月発行しており、 年間12回です。

新聞折込に年間約400万円、 印刷製本費に約458万円、 合わせて 年間約858万円 がかかっています。

発行部数:17,500部
新聞折込:14,000部
新聞折込費:年間約400万円
印刷製本費:年間約458万円
合計:年間約858万円

新聞折込以外は約3,500部

17,500部のうち、 新聞折込は14,000部です。

残る約3,500部については、 公共施設やスーパー、 コンビニなどに配架されています。

鹿嶋市章 市の答弁

現在の配架先は52か所です。

今後は、 市民が日常的に立ち寄る 金融機関や医療機関などにも 広げることを検討しています。

SNSなどデジタル媒体での 情報発信も強化しています。

また、 配架先では毎月残部数を確認し、 利用が多い場所には補充するなど、 実際の持ち帰り状況も確認しているとのことです。

行政委員による各戸配布は現在行っていない

資料に記載された質疑
行政委員による広報紙の配布は 現在行っていないのでしょうか。 また、なぜ廃止されたのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

行政委員による配布は、 現在行っていません。

理由として、 新聞折込で配布していること、 行政委員の負担が大きかったこと、 各戸へ届くまでに時間がかかることが 挙げられています。

新聞購読者が減った後をどうするか

行政委員配布をやめた時点では、 新聞折込が大きな役割を果たしていました。

しかし、新聞を購読しない世帯が増えれば、 新聞折込だけでは 情報を届けにくくなります。

紙を必要とする方への届け方と、 デジタルでの情報発信を どう組み合わせるかが課題になります。

学校や民生委員などを通じた配布も検討

資料に記載された質疑
金融機関だけでなく、 小中学校、民生委員、 包括支援センターなどを通じて 広報紙を届ける方法も考えられないでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

新聞折込の減少分を、 配架先の拡充で補っていくことを検討しています。

それ以外の配布方法についても 検討していくとしています。

ホームページのアクセスが約4万9,000件減少

一方、デジタル広報では、 ホームページのアクセス数についても 質疑が記載されています。

資料に記載された質疑
ホームページのアクセス数が 約49,000件減っています。 なぜ減ったのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

検索サイトから 目的のページへ直接アクセスするケースが増え、 トップページを経由しなくなったことが 要因の一つと考えられています。

また、SNSの記事にURLを掲載しているため、 そこから直接目的のページへ 移動するケースも増えているとしています。

アクセス減=利用減とは限らない

トップページへのアクセス数だけを見れば 減少しています。

しかし、 検索やSNSから目的のページへ 直接到達する人が増えたのであれば、 単純に「ホームページが利用されなくなった」 とは言えません。

広報の効果を測る指標についても、 アクセス数だけでなく 情報への到達状況を含めて考える必要があります。

AIチャットボットは月1,000~1,200件

資料に記載された質疑
AIチャットボットは、 実際にどのくらい利用されているのでしょうか。 また、効果を分析しているのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

4月から導入し、 毎月1,000件~1,200件程度 の利用があります。

ただし、 現在把握できているのは利用件数で、 今後は効果なども分析していきたいとしています。

ホームページのトップページへ バナーを増やすには費用がかかるため、 AIチャットボットを活用し、 知りたい情報へ簡単にたどり着けるようにする 取り組みも行われています。

LINEは「欲しい情報だけ」を受け取れる

市のLINEでは、 「セグメント配信」という方法も使われています。

鹿嶋市章 市の答弁

利用者があらかじめ 知りたい分野を選択することで、 その分野の情報を受信できる仕組みです。

市から届く情報が多すぎると、 本当に必要な情報まで 読まれにくくなる可能性があります。

必要な人に、 必要な情報を届けるという点では、 こうした仕組みも一つの方法です。

エフエムかしまへの委託料は2,000万円

紙・インターネットと並んで、 鹿嶋市の情報発信で役割を担っているのが エフエムかしまです。

資料に記載された質疑
行政情報発信委託料は2,000万円ですが、 実際にどのくらいの人が聴いているのか 調査しているのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

聴取率調査には相当の費用がかかるため、 実施していません。

一方で、 イベントなどでアンケート調査を行い、 リスナーの状況把握に努めています。

市の情報は、 「おしえてかしま」 「スポット広報」 「今日の鹿嶋明日の鹿嶋」 「読み原稿広報」 などで放送されています。

2,000万円の委託、効果測定も論点に

資料に記載された委員意見

エフエムかしまは 市民とのつながりが強いメディアであり、 大切にすべきとの意見がある一方、 聴取エリアも鹿行地域などへ広がっているため、 費用がかかっても 聴取率などをきちんと調査すべきとの意見も 記載されています。

資料では、 継続的な情報発信とともに、 実際にどの程度利用・聴取されているのかを 把握することも論点となっています。

紙とデジタルの事業を一本化

資料に記載された質疑
令和7年度から、 「広報活動経費」と「地域情報発信事業」を 一本化したことで、 業務効率化や経費削減の効果はあったのでしょうか。
鹿嶋市章 市の答弁

一本化した理由は、 「紙もデジタルも同じ情報発信である」 という考えによるものです。

業務効率化や経費削減そのものが 目的ではないとしています。

市民はどこから情報を得ているのか

広報手段が増えるほど、 「実際に市民が何を使っているのか」 という把握も重要になります。

鹿嶋市章 市の答弁

令和7年度に、 広報に関するアンケート調査を実施しました。

今後も定期的に調査を続け、 市民がどのような方法で情報を取得しているのか 把握していくとしています。

資料に記載された主な委員意見

・情報が全世帯に行き届く仕組みを考えること。
・配架場所を増やし、実際の利用状況も把握すること。
・他自治体の広報紙の配布方法も研究すること。
・広報活動でもAIを活用し、省力化や分析を進めること。
・エフエムかしまについても、聴取状況をより具体的に把握すること。

「発信した」ではなく「届いたか」

総務生活分科会の資料を読むと、 鹿嶋市の広報は、 紙だけではなく、 ホームページ、SNS、LINE、 FM、AIチャットボットへと 多様化していることが分かります。

一方で、 「広報かしま」は17,500部発行され、 そのうち14,000部が新聞折込です。

新聞購読者が減っていく中では、 「市が発信したか」ではなく、 「必要な市民に実際に届いたか」 という視点が、より重要になります。

紙が必要な人もいます。 LINEを使う人もいます。 ホームページから調べる人もいれば、 FMから情報を得る人もいます。

一つの方法ですべての市民に届けるのではなく、 それぞれの媒体の特徴を生かしながら、 どの方法が実際に使われているのかを確認する。

そうした効果測定まで含めて、 今後の広報のあり方を見ていく必要があると思います。

※令和7年度決算審査・総務生活分科会委員長報告別紙に記載された質疑・答弁・意見をもとに、読みやすいよう要約・整理しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました