「担当者が替わったので、また最初から」をなくしたい――鹿嶋市の人事異動と職員の専門性を問いました

9月議会の一般質問では、農業政策について質問する中で、
農家の皆さんとの懇談から見えてきた
「市役所の人事異動と職員の専門性」
についても取り上げました。

きっかけは、農業者の方から聞いた話です。

農業関係の事業には、相談を始めてから実施まで数年かかるものがあります。
しかし、その途中で担当職員が異動すると、新しい担当者にこれまでの経緯をもう一度説明しなければならなかったり、
担当者によって制度についての知識や対応に差を感じたりすることがある、との声がありました。

ただ、私はこれは農林水産課だけの問題ではないと思っています。

福祉、子育て、都市計画、税務、企業誘致など、市役所には専門的な知識が必要で、
何年にもわたって市民や事業者と関わる仕事が数多くあります。

人事異動そのものが問題なのではありません

もちろん、市役所という組織では、人材育成や幅広い経験を積むために、
定期的な人事異動が必要であることも理解しています。

今回、私が問題として提起したのは、職員が替わることそのものではありません。

問題は、

人が替わっても、それまで市役所として蓄積してきた知識や経験、個別案件の経緯が失われず、
行政サービスの質が維持される仕組みになっているか

ということです。

私は議会で、

「担当者が替わったので、また最初から説明してください」

ではなく、


「担当者は替わりましたが、これまでの経緯は把握しています」

と言える市役所であってほしいと訴えました。

市長も「個人の記憶や経験だけでは限界」と答弁

今回の答弁で、市側もこの問題についてかなり踏み込んだ認識を示しました。

市長は、市民や事業者から寄せられる様々な相談に的確に対応するため、
組織として引き継いでいくべきものが大きく二つあるとの考えを示しました。

引き継ぐべきものは「知識」と「案件の経緯」

一つは、
職員が培った専門的な知識や経験
です。

もう一つは、
個別案件のこれまでの経緯
です。

特に個別案件については、行政分野の専門化や制度の複雑化が進む中で、
職員個人の記憶や経験だけに頼って引き継ぐことには限界があるとの認識が示されました。

市長は、医療を例に挙げ、
担当医が替わってもカルテによってこれまでの診療経過を把握できるように、
行政でも個別案件の内容や対応経過を記録し、
必要なときに確認・共有できる仕組みが必要であるとの考えを示しました。

現在の引継ぎはどうなっているのか

続いて総務部長から、現在の具体的な引継ぎ方法について答弁がありました。

人事異動の際には、鹿嶋市職員服務規程に基づいて
「事務引継書」を作成し、担当している仕事の要領や懸案事項を記載した上で、
上司などの立ち会いのもと、後任者へ引き継いでいるとのことです。

また、必要に応じてロジックモデルや評価シート、
事務処理マニュアルなどの関係資料も添付し、
担当者が替わっても、これまでの経緯や業務内容を把握できるよう取り組んでいるとの説明でした。

複数年度の相談案件には、まだ課題も

一方、複数年度にわたる事業や継続中の相談案件については、
一部は業務システムで経過を確認できるものの、
それ以外については資料を整理・保管し、
その都度、必要な資料を探して確認する方法になっているとのことでした。

この点については、市側も
「効率性の面で課題がある」
と認識しています。

幅広い経験と専門性をどう両立させるか

もう一つ質問したのが、職員の専門性です。

市民や事業者が相談に来た際に、担当者と一緒になって一から制度を調べるのではなく、

「この制度が使えます」

「こういう方法なら実現できる可能性があります」

と、

一歩踏み込んだ提案や助言ができる職員を育てることも必要ではないか

と質問しました。

市は、人事異動を通じて幅広い業務を経験することは、
職員の対応力を高め、異なる分野の業務を関連付けて考える視点を養うために重要だとしています。

一方で、専門性を必要とする分野については、
日々の業務を通じて知識や経験を積み重ねるとともに、
研修などを通じて専門性を高めていくことも重要との考えが示されました。

また、人事異動にあたっては、所属長へのヒアリングなどを通じて
職員の適性やこれまでの経験を把握し、
幅広い業務経験による人材育成と、
業務の専門性・継続性の両立を図りながら職員配置を行っているとの説明でした。

市民にとって大切なのは「誰が担当でも話が通じる市役所」

市役所の人事異動というと、役所内部の話に見えるかもしれません。

しかし、実際には市民サービスに直結する問題です。

相談していた職員が異動するたびに最初から説明し直さなければならない。

担当者によって制度の説明や対応が違う。

長年積み重ねてきた相談の経緯が十分に引き継がれていない。

こうしたことがあれば、一番負担を感じるのは市民や事業者です。

今回、市側からは、

事務引継ぎの徹底、業務の標準化、個別案件の記録・共有・活用方法の見直し、
そして専門性を持った職員の育成

を進めていく方向性が示されました。

人事異動があっても行政サービスの質が落ちないこと。

そして、職員一人ひとりが身につけた知識や経験を「その人だけのもの」にせず、
組織全体の財産として残していくことが重要だと思います。


「担当者は替わりましたが、これまでの経緯は把握しています」

そんな言葉が当たり前に聞ける鹿嶋市役所になってほしいと思います。

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